産業能率大学 情報マネジメント学部
カスタマイズ項目
概要
教室を選ばずPC環境の統一を可能に
情報マネジメント学部の塩谷教授の授業にて受講生にカスタマイズしたCDを400枚配布。生徒の持ち込みPCを利用し、授業を展開中。これにより、パソコン教室ではない普通教室でも生徒全員にOS・アプリケーションの環境を統一させることが可能になり、場所を選ばない円滑な授業をおこなうことが可能になった。
導入背景
産業能率大学では、時代の変遷と共に様々な情報環境を選択して利用しています。古くはMacintoshや大型計算機などの時代から、UNIXやMS-DOSの時代を経て、現在は、主力であるWindowsをLinuxが補完する形態で利用しています。
「情報教育での新しい取り組みを容易におこなえ、
ソフトウェア費用や管理コストが低いアイテムはないか…」
教授 塩谷 勇 氏
現在、Windowsが教育の中心に利用されています。昨今の教育環境の変化もあり、以前に比較して学生の履修可能な科目の幅が広がりました。しかし、科目の選択の仕方によっては、様々な教育環境に触れる機会が少なくなり、卒業までWindowsの経験しかない学生も増えました。
しかし、情報教育に関する新しい取り組みをおこなおうとする際、ソフトウェアのライセンスによって費用が高額になるために、予算計上や導入メリットの評価が必要になります。これにより導入が遅れてしまい、授業計画に十分に反映できないことも多くありました。
一方で、LinuxなどのUNIX系OSでは、システム周りからアプリケーションに至るまで豊富なオープンソースソフトウェアに支えられて教育の新しい取り組みが容易になるという利点があります。UNIX系OSなら、ライセンス費用を気にすることなく、新しい取り組みができると期待しておりました。
しかし、実際に運用となるとUNIX系OSは、OSそのものの取り扱いが難しく、一度ソフトウェアが壊れると回復に相当の知識が必要となる上に、場合によっては専門家の支援が必要な場合もあります。
また、アプリケーションによってはroot権限がなければ、使い勝手のよくないものもあります。教育面からすると、各個人が管理者であり、かつ利用者であることが望ましいと言えます。
「問題点を解決したのはKNOPPIXだった」
前述のような問題点の解決策として、CD-ROM1枚で起動するLinuxに数年前から注目していました。注目し始めた頃の1CD-Linuxは、「自由なアプリケーションの変更が技術的に難しい」、「ライセンスの関係で変更できない」、「触れる程度や特定の目的なら良いが汎用的な利用ができない」などの課題がたくさんあり、とても学校教育で利用できるものではありませんでした。さらに、OpenOffice.orgも現れる前だったため、様々なメディアとの連携がWindows利用者には難しいことも大きな障壁でした。
そこで、出会ったのがKNOPPIXでした。OpenOffice.orgも収録され、様々なデバイスを自動認識しCD1枚で起動するLinuxであるKNOPPIXは、まさに今までの問題点をすべて解消する代物でした。ソフトウェアの選択を授業に合わせてCD-ROMに再構成すれば、情報のリテラシ教育から4年生の卒業研究までをカバー可能であると言えます。幸い、KNOPPIXがバージョンアップし、本学推奨のノートPCとの相性の悪さが改善されたことから、導入を決意いたしました。
当初は、KNOPPIXをカスタマイズし個人的に利用しながら教育へ利用する機会を伺っていましたが、大学に申請した予算が獲得でき、アルファシステムズではホビー用より教育向けにカスタマイズをおこなっていたことからカスタマイズサービスを利用いたしました。
産業能率大学では、学生の計算機の利用資格を定めたライセンス制度があり、セキュリティとウィルス対策の施された計算機のみがネットワークに接続可能です。KNOPPIXについては、ウィルスの感染の可能性が非常に低いという点からも大学側の理解が得られ、導入可能になりました。
システム導入のメリット
作成したKNOPPIXは、情報マネジメント学部の「メディア技術の基礎T」で利用していますが、最初、Windows以外に触れたことのない生徒には、DOS/V=Windowsという思考回路が働き、「何の利点があるのかわからない」「Windowsで動作しないソフトウェアのための道具」という誤解を与えていました。一見するとWindowsの表示が変わっただけと思っていたようですが、徐々にその違いが理解でき驚きが沸いてきたようです。
1回の授業でUNIXから始まり、ApacheとWikiの導入から体験までと駆け足の講義でしたが生徒の反応は良かったと思います。
「KNOPPIXの利用により、メカニズム、メディアコンテンツの特性までの一連を理解する目的が達成された」
授業風景
通常、WEBサイトの仕組みとしてサーバからクライアントへコンテンツが転送されることになりますが、掲示板やBlogなどはクライアントからサーバへコンテンツ情報が転送されます。このように第三者に公開されるものは、匿名性が高くても言葉の表現の仕方から内容まで考慮するとなかなか発言に参加できないものです。この点を開放してコンテンツの管理を自分でしている状況ですと、発言が容易になります。
メカニズムの透明性もありますから、これがインターネットを通じた新しいメディアの情報発信につながります。技術論や技術的な観点は理解していても、技術の上に構築されるコンテンツはどのような波及効果があるかは未知で予測できないものです。この懸念点からすると、KNOPPIXは1枚のCDで完結しているため、メカニズム、メディアコンテンツの特性までの一連を理解する目的を達成することができました。もちろん、感性の高い若い学生に課題を課して理解度の検証もしました。
「KNOPPIXの利点は1枚で小実験システムを構築できる発展型システムであることです」
授業風景
メディアは理屈以上の見えない部分について体験して理解をしなければならず、ある場合は閉じた、ある場合は開放できる小実験システムが必要なのです。これが、KNOPPIXの最大の利点で、個人で利用して、個人の責任の中にあり、内容も個人で管理できます。同時にハードディスクなども視野に入れるとシステムの開発が可能な発展型システムになります。これが、1CDLinuxの普及の鍵で、従来のLinuxでは難しかったところです。
「CD-ROM1枚で動作するWindows的な利用」というのが、KNOPPIX利用の初年度でした。また、このようなプログラム開発などの工学的な利用のみではなく、多彩なメディアや情報環境を体験する学習が可能であるという面からもKNOPPIXの利点を強調したいと思います。
なお、本KNOPPIXの利用は平成16年度産業能率大学特別個人研究の支援を得て行われました。
カスタマイズ内容
- アプリケーションの追加
- KNOPPIX3.6をベースにCD1枚でWebサーバの構築までできるようにカスタマイズしました。アプリケーションはPukiWikiやApacheなどを追加しました。
- アプリケーションの削除
- ベースのKNOPPIXに含まれているゲームをすべて削除することにより、生徒がより勉強に集中しやすい環境を実現しました。
- デザインの変更
- CDラベル、起動画面、壁紙に校名を入れ、学校オリジナルのCDとしました。
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