第9回テレワーク推進賞 実施の内容(2/3)
6.実施環境について
当社のこれまで培ったソフトウェア開発のノウハウを活かして、リモートアクセス可能な 「画面転送型」のシンクライアントシステムを自社開発して導入しました。
オフィス環境の変化
既存資産を有効活用する観点から、社内にある自端末を利用するシステムを構築しました。よってオフィス環境には、新たな設備の導入はありません。
情報インフラの整理
専用の認証ゲートウェイサーバを社外のデータセンタに配置することで、ある拠点で停電や ネットワーク障害が起きた場合でも他の拠点ではテレワークの運用が可能になりました。 社外から接続するクライアントPCは、既存のものを利用し、ソフトウェアのインストール等の作業は不要です。
情報セキュリティについて
alpha Teleworkerには『パワーセキュリティ』と呼ぶ4つのセキュリティ対策を設けております。
- 情報流出防止(デバイスブロック)
クライアントソフトウェアは書き換え不可のデバイス(CDまたは書き込み不可のUSBメモリ)に収録し、このデバイスから起動するタイプです。クライアントの機能として、HDDやUSBメモリなどの外部デバイスへの保存を制限しているため情報漏えいが防止できます。 また、クライアントPCのメモリ上でソフトウェアを展開するため、電源を切ることで全ての利用ソフトウェアは、消去されます。 - ウイルス対策(ウイルスブロック)
インターネットカフェ、空港やホテルなど公共端末を利用した場合でも、クライアントPCの内蔵HDDは利用しないため、公共端末がウイルスに犯されていても社内にウイルスが侵食することはありません。 - 不正アクセス防止(改ざんブロック)
「正規システム認証(※特許出願中:2007-000645)」により、改ざんされたCDからの不正アクセスを防止します。
- なりすまし防止(なりすましブロック)
ユーザID、パスワードの確認に加え、事前に携帯電話の個体識別番号を認証ゲートウェイに登録しておき、社外からアクセスする時に携帯電話による認証をおこないます。これによりなりすましを防止します。
7.創意工夫した点、アピールしたい点、苦労した点など
これまで自宅や常駐先など有線LANによる利用を前提としていましたが、10月にNTTドコモ、e-mobileのモバイルカード、さらにはHOT SPOTやフレッツ・スポットなどの公衆無線LANに対応させ、1月にau、Softbank、3月にWillcomと対応モバイルカードを追加することで、様々な用途で社内に接続できるようにして、勤務環境に応じた通信手段を選択できるようにいたしました。その結果、サービス開始時(2007年4月)は21名だった利用者は、現在100名(2008年7月)となり、約5倍に増加しました。
次に、利用状況を説明します。
図2は、直近3ヶ月間の利用時間帯別alpha Teleworker利用者の接続回数を月毎に示しています。業務時間帯(9:00-18:00)の接続回数が多いのは、社外勤務者が勤務時間中にこれまで社内でしか利用できなかったシステムを利用して業務を遂行していたと予測されます。(当社ゲートウェイサーバ接続ログより)
今回、alpha Teleworkerの利用形態および、改善運用するために利用者アンケートをおこないました。その集計結果を報告します。(設問に対する解答は全て複数回答の結果より集計、N=65)
利用しているアプリケーションは何ですか?
利用者の93%が『メールの送受信』をおこない、次いで『社内システムの利用』が83%、『オフィスソフトで資料作成』が76%だった。
利用している場所はどこですか?
利用者の81%が『自宅での利用』でした。製品のモバイル対応により、利用範囲が『外出・出張中(顧客先)』で3割を超え、モバイルワークが浸透してきました。
どこにメリットを感じますか?
半数以上の利用者が『情報漏えい対策』をメリットと感じており、これは、現在利用しているシステムが、画面転送型のシンクライアントシステムであることを理解している当社社員らしい結果であると考えます。
次いでモバイルワークが可能になったことにより『迅速な顧客への対応ができる』、また『管理職による承認速度』いう声が半数近くあり、業務効率の改善に寄与しているようです。また、自由記述欄には『出張先での空き時間を有効活用できるようになった』等、時間の効率化についても意見が寄せられました。
※本記事は2008年7月に第9回テレワーク推進賞に応募した内容です。